出産に立会うかどうか夫婦で何気なく話しをしていた時に喧嘩になったことがありました。

「俺は出産は立ち会わないよ」と宣言したら、妻が突然怒り出したのです。

今を思えば妻が怒ったのは当然で、妻は「出産は命がけ、不安だから立ち会って欲しい」という希望があったにもかかわらず、私は「出産には立ち会わない」ことを自分の都合で妻にゴリ押ししようとしていたのです。

男性の方には分かってもらえるかと思いますが、「出産の生生しい現場が怖い!」という恐怖心が、私が出産に立ち会いたくない一番の理由でした。もちろん他にも理由はありましたが、出産室で何も出来ないであろう自分の姿は容易に想像できました、立ち会っても役立たずだろうなと思えて仕方なかったのです。

「出産に立ち会ってしまうと、妻のことを女性として見れなくなるよ」という知人の言葉も、立会いだけは避けたいという気持ちを強くさせてしまった気もします。

ここまで説明してきて、立会い出産を拒否したいであろう私の姿が想像できたかと思います。奥さんが立ち会って欲しいと希望しているのならば男として立ち会うべきだという意見もあることは承知ですが、私は立会いは拒否したいけど、陣痛が始まって出産するまでは病院で待機したいという理想がありました。病院の廊下で夫が待っていて「オンギャー」と生まれてくる赤ちゃんの声を夫が聞くというドラマでもよくありそうなイメージです。

廊下で何時間だろうが待ちたいという気持ちは不思議とありました、出産シーンにさえ立ち会わなければ、他は全面的に協力したいというのが私の方針でした。出産中に妻や赤ちゃんが命に関わる問題が発生すれば夫である私が病院の治療方針に同意をしなければならないケースも出てくるでしょう、家で寝ていたり仕事をしていてはタイムラグが出てしまいます、廊下越しとは言え妻と赤ちゃんのそばにいたいという気持ちは強かったです。

 

妻が破水した!

出産予定日の1日前のお昼すぎに、妻が「もしかしたら破水してるかも」と言うので車で病院に連れて行きました。やはり診断の結果は破水でそのまま入院することになりました。破水はチョロっと出た程度で陣痛もほとんどなく、助産師さんも妻の余裕な表情を見て「まだまだだねぇ」と判断をされたので、夜の22時ごろに私だけ一時帰宅をし仮眠をすることにしました。

夜中の2時頃に妻がいる陣痛室に入りました。

妻から深夜の2時くらいに、「病院に来て」とLINE(ライン)が入りました。私は、「おっそろそろ陣痛が始まったか」と心が引き締まる思いがしてきました。妻には頼まれていませんでしたが、湯たんぽと、天然塩を少し入れたミネラルウォーターを持参し病院に向かいました。

深夜なので病院の裏口から入り、妻がいる陣痛室へ向かいました。陣痛室は2人部屋になっていて、もう1人の女性はすでに激しい陣痛でうなされていました。一方、妻は15分とか20分間隔で軽く陣痛が来る程度とのことで、私が着いたばかりのときは会話は出来る状態でした。

妻に何をして欲しいか?を聞くと、腰をさすって欲しいとのことでした。私はひたすら腰をさすり続けました。足元が冷えるといけないので自宅から持ってきた湯たんぽを妻の足元に置きました。時間にして2,3時間はあっと間に過ぎていきました。

朝の6時ごろになると、陣痛が激しくなってきました。

外も明るくなってきて私の眠気もピークに達してきました。私は腰をさすり続けるだけで他に何もすることはできませんでした。

看護師が朝食を持ってきました、もちろん妻は陣痛が激しくなり食べられません、私も妻の腰に手を当て続けているので変わりに食べることができませんでした。1時間経過するごとに妻の陣痛が激しくなり苦しむ声が大きくなっていきました。助産師さんが2時間置きくらいに見に来てくれましたが、子宮口がまだ開いていないので出産予定時間は14時くらいになるだろうとのことでした。妻は「こんなに苦しいのに子宮口が全然開かない」と愚痴っていました。早く開いて欲しい願望があったのでしょう。

詳しい理由は分かりませんでしたが、腰に手を当てながら、子宮にテニスボールを当てるようにと妻から指示がありました。何でも、赤ちゃんが早く出てくるのを防ぐそうなのですが、理屈は分かりませんでした。とにかく右手は妻の腰、左手にテニスボールを持って子宮らへんに当て続けました。妻はベッドに横になっていましたが私は、深夜の2時すぎからずっとベッドの上に腰掛けている状態で、腰の張りが半端なく辛くなってきました。

昼の11時くらいになったら、妻の妹と母親が病院にかけつけてくれました。私は眠気と腰の張りでふらふらになりかけていたところだったので助かりました。陣痛室には1人しか入れないので30分ごとに順番で交代することになりました。

私は妻の母と妹に妻の付き添いを任せ、廊下にある待合室で待機することになりました。気が付いたらウトウト寝てしまったようです。あっという間に自分の番が来ました。応援に来てくれなかったら一人で付き添いを続けていたのかと思うと感謝で仕方ありませんでした。

昼過ぎになると、陣痛がさらに激しくなりました

もう私が病院に駆けつけてから10時間が過ぎようとしていました。妻の陣痛はどんどん激しくなっていきました。しかしまだ出産室には入れないようです。妻は痛みを必死にこらえているようでした。

14時ごろになると、出産室への移動が決まりました。もちろん私は研修を受けていないので出産室には立ち会えません。しかし助産師さんが勘違いしたのか「旦那さんも出産室へどうぞ」と指示を出してきました。

よし、立ち会うぞ!

妻と立ち会う立ち会わないで喧嘩をしていたのが嘘だったかのように、私は出産室に入る準備をしました。マスクをしたり、割烹着のようなものを着たり手袋をしたり。いざ出産室の扉を開けると、目の前に妻が分娩室に座らされていました。私は念のため「私研究受けていませんが入っても良いのでしょうか?」と助産師さんに念のため伝えました。そしたら・・・

あっ、それじゃダメですね、入れません

結局、出産室に入って1分もしないうちに私は追い出されてしまいました。そりゃそうですよね、研修を受けてないのですから入ってはいけないのです。私は何で出産室に入ろうとしたのでしょうか?あれだけ嫌だったのに。不思議でなりませんでした。

出産室に入った妻は1時間ほどで無事に赤ちゃんを出産しました。廊下で待っていた私は、「いつ生まれるんだ!」とずっとソワソワしていました。それはそれは長い1時間でした。

怖くて抱っこできませんでした

出産後、妻と赤ちゃんに会うことができました。赤ちゃんは、お猿さんかガッツ石松のどちらかだと言われていますが本当でした(笑)あまりにも小さくて抱っこすると首の骨が折れそうで怖くてすぐには抱っこすることはできませんでした。本当、私って怖がりだなって思いました。

妻に感謝されました

私は予定どおり出産室で妻と一緒にいることはできませんでした。しかし、陣痛室で夜中の12時間以上も腰に手を当てたり、テニスボールで押さえてくれたりしたことを感謝してくれました。

出産室で立ち会うことよりも陣痛室で一緒に苦しみに付き合ってくれた私のことを感謝してくれて、私はうれしくなりました。

夫婦それぞれの価値観が合えばよい

出産まもない妻がいる夫の皆さん!出産室に立ち会えなくても少しでも良いので陣痛室にいる奥様のそばにいてあげてください。私が偉そうなことは言えませんが、私の妻は出産よりも長い陣痛のほうが辛かったようです。ですから陣痛室で妻の看病を頑張った私に感謝をしてくれたのです。夫婦それぞれの考え方はあるかもしれませんが、私は陣痛室で妻のそばにいれてよかったと思っています。そして何よりも元気な赤ちゃんが生まれてきたことに感謝したいと思っています。