『家庭教師派遣業シリーズ⑤』

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初契約から順調に契約を伸ばしてきた私だが、アポイントの質ってのがあって、誰が言っても契約が取れるアポと、クソアポと言って誰が行っても契約が取れないアポまでランク付けがある。慣れて来るとマネージャーから今回はどんなアポなのかを説明されると、「これは取れないな」というのが感覚的に分かってくるようになった。

クソアポとは、アポが本当に取れたのか取れてないのか、はっきりしないようなのが多く、実際に訪問すると、「約束してないわよ!」と、断れるケースが多い、つまりは「飛び込み営業」みたいなもので、そんなアポでも何とか話だけでも!と言い訳をして玄関に入れてもらい説明を聞いてもらうように仕向けていたが、たいていは迷惑がられて終わりだった。

ちなみに、私がやっていた仕事は、求人誌では「学習アドバイザー」という肩書きで紹介されている。言い換えれば「家庭教師システムの紹介営業マン」だから契約を取れてナンボの世界だった。

A社には私のほかに先輩が3人いた。私が契約を取れるようになると、マネージャーは私に良いアポを優先的に回してくれるようになった。良いアポが回ってくるということは、当然だが、契約がとりやすいということだ。みんな同じトークをしているのに、アポの質によって結果が変わってしまうそんな世界だった。

当然、私が初契約をするまでは、良いアポは回ってこなかった。良いアポは先輩たちに回っていた。それを私が契約が取れたことで、勢力図が少しずつ変わっていった。

今まで稼いでいた先輩たちは、よいアポが回らなくなったことで、ひがんでくる人もいた。とくに1人の先輩一人が、ものすごい私をライバル視するようになっていった。

その先輩を今後はT先輩と呼ぶことにしう。

 

A社では、契約を取っている者がえらいという風潮があった。今までの成績トップはダントツT先輩だった。つまりT先輩はA社にとってエースだった。それが私が現れたことでその地位が危ぶまれることになった。

先に結果を言っておくが、今後、このT先輩に私は頭を痛めることになる。

 

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