仮想通貨を法人でトレードするために『合同会社カソツーカ』!を設立

仮想通貨を法人でやりたいと考えている人が増えてきているようですね。

そこで、「 合同会社カソツーカ! 」を設立したと仮定してシミュレーションしてみましょう。

 

 

ちなみに、合同会社設立は簡単ですので自分でも出来ます。設立費用は7万円ほど。また、会社をたたむ時にも最低7万円くらいの費用がかかります。

 


想定

 

資本金100万円、従業員なし(自分が社長)、元手100万円を使って会社設立1年目(1期)で仮想通貨で1億円の利益を上げた。

 

東京都在住、41歳男性、ひとり社長役員報酬、月20万円(ボーナスなし)、独身を想定


 

【会社が払う税金】

 

ひとりで会社を起こし、従業員も雇わず、役員報酬も払っていない場合は、社会保険に加入できない場合もあると言われていますので、1期目は加入せず、2期目から加入できたと仮定して話を進めていきます。

 

 

1期目の会社の決算

 

売上1億円
経費(売上の10%程度の見込み)1000万円
役員報酬 0万円
社会保険料0万円

法人として課税所得 9000万円

法人税と法人住民税が合わせて約37%かかりますので、3330万円を納税します。

会社の手元に残るのは5670万円となります。

 

> 個人取引の場合だと、1億円の利益に対して、所得税45%、市県民税10%、合計5500万円の税金がかかります。個人の手元に残るのは4500万円。1000万円以上の差が出ますので、1期目は「法人」でやっていて良かったという結果になりました。

 

 

2期目の会社の決算

 

2期目は、残念ながら仮想通貨で利益が出ずに、1000万円の損失が出てしまいました。

> いつまでも上昇相場は続きませんので、このパターンに陥る人は多いかと思います・・・

 

また、1期目に利益が出たので会社として社会保険に加入することにしました。会社に現金がたまったので、役員報酬を出すことにしました。あまり高いと税務署に「高すぎた分は経費にできないよ!」と指摘されるので、とりあえず240万円とし、経費は1年目よりもかかりませんでした。

 

売上 マイナス1000万円
経費 500万円
役員報酬 240万円
社会保険料 34.8万円

法人として課税所得 0万円(マイナス1774万円の赤字)

※法人税が0円ですが法人住民税は必ず7万円かかります。

会社の手元に残るのは1期目の5670万円から1781万円を引いて、3889万円となります。

 

※ このマイナス1774万円の赤字は、翌期以降の利益と相殺させることができます。(10期先まで可能)

 

>個人取引の場合、1000万円のマイナスで終えたとしても翌年の利益と相殺することは出来ません、ところが法人の場合は10年先まで相殺できるのです。

 

 

3期目の会社の決算

 

3期目は、2期目の反省を踏まえて慎重に取引をすることにしました。その結果、1000万円の利益が出ました。

役員報酬を引き続き240万円とし、経費は2年目同様です。

売上 プラス1000万円
経費 500万円
役員報酬 240万円
社会保険料 34.8万円

法人として課税所得 225

 

本来なら225万円に対して37%の法人税等がかかりますが、前期に1774万円の赤字を計上していますので、相殺することができます。

ですので、法人として課税所得は、225 ⇒ 0円 となります。

法人税が0円ですが法人住民税は必ず7万円かかります。

 

会社の手元に残るのは2期目の3889万円から218万を足して、 4107万円となります。

 

個人取引には無い、年度を跨いでの損失と利益の相殺するという法人最大の恩恵を受けました。

 

【4期目から11期目】

 

4期から11期目も、3期と同じような条件で毎年225万円の課税所得となりましたが、10年間は赤字を繰り越せるので、実質課税所得は0円となりました。

ただ、法人税が0円ですが法人住民税は必ず7万円かかります。これが8期分だと7万円×8期で56万円となります。

会社の手元に残るのは3期目の4107万円から1800万円(225万×8期)を足して、法人住民税56万円を引くと、 5851万円となります。

 

【12期から20期目】

仮想通貨で儲からなくなりました。その変わりアフィリエイト事業を法人ですることにしました。

売上減少のため経費を節約しました。

売上 プラス300万円
経費 300万円
役員報酬 240万円
社会保険料 34.8万円

法人としての課税所得 0万円(マイナス274万円の赤字)

ただ、法人税が0円ですが法人住民税は必ず7万円かかります。

 

運だけでも勝てていた仮想通貨ブームが過ぎ、FXでも多くの損失者を出したように、あっけなく負ける人が続出するようなりました。

合同会社カソツーカ!も赤字垂れ流しの会社となってしまいました。

 

9期分の法人住民税7万円×9期で63万円となります。

会社の手元に残るのは11期目の5851万円から2466万円(274万×9期)と、法人住民税63万円を引くと、 3322万円となります。

 

会社を作って20年後には、3322万円の現金が残ることになりました。また、10年間繰り越せる欠損金が2466万円留保されている状態です。

 

20年間の累計

 

売り上げた金額 2億700万円
役員報酬 4800万円
社会保険料 696万円
経費  8700万円

法人税等 3463万円

 

社会保険料も税金だと加味しますと、2億700万円の売上に対して4159万円の支払いとなり割合的には20%の比率となりました。

 

【個人が払う税金】

 

役員報酬を年間240万円として20年間ひとり社長に支給した場合。

 

役員報酬を240万円として、小規模企業共済と確定拠出年金にも加入し、控除をフル活用して所得税と市県民税を無税にさせる対策をとった。

 

基礎控除 38万円

給与所得控除 90万円

小規模企業共済 7万円 × 12ヶ月 = 84万円

確定拠出年金 2.3万円 ×12ヶ月 = 27万6000円

健康保険料 1.1万円 × 12ヶ月 = 13万円2000円

厚生年金保険料 1.8万円×12ヶ月 = 21万6000円

 

支払った社会保険料たちも、控除になりますので、

 


誰でももらえる基礎控除の38万円、給与所得控除の90万円、支払った社会保険料の合計146万4000円を足すと、約274万円が総控除額になります。

この総控除額を年収から引くと、

240万円ー274万円 = マイナス34万円となります。

 

えっ、マイナス?と思ってしまいますが、0以下はないので、このひとの場合は課税所得は0円という扱いになり。所得税、市県民税は無税となります。

 

毎月の手取りは?

7.8万円になります。少々少ないですね。

 

将来もらえる年金は?

 

さて、このような給与形態で60歳になるまで続けたとしましょう。その場合もらえる年金はどのようになるのでしょうか?

まず、国民年金を20歳から40歳の間もしっかり払っていたとすると満額で77万9300円になります。

これに厚生年金分の26万3000円が上乗せされます。

従いまして、年間合計104万2000円の年金を、死亡するまでもらうことができます。

 

さらに、以下のように毎月積み立ててきた分の共済金も受け取ることができるようになります。

小規模企業共済 7万円 × 12ヶ月 = 84万円

確定拠出年金 2.3万円 ×12ヶ月 = 27万6000円

20年分の小規模企業共済は1680万円
20年分の確定拠出年金は552万円
合計 2232万円

この金額を退職金として一括でもらうとします。

退職所得の場合、優遇措置が利用できるので税金は安くなります。

 

勤続年数と、確定拠出年金のいずれも20年間としますと、

40万円×20年間で800万円の控除になります。

 

2232万円ー800万円(控除額)=1432万円。

ここからさらに2分の1をかけることが出来ますので、

1432万円 × 2分の1 = 716万円。

 

この716万円が課税退職金所得になります

退職金をもらうときに

 

所得税101万円

市県民税(一律10%)71万円

合計 172万円

 

退職金としてもらった2232万円に対して税金が172万円(約8%)かかりますが、手元に2060万円ほど残ります。

 

60歳から90歳まで生きるとして、30年間で公的年金3126万円、小規模企業共済等の共済金が2060万円で合計5186万円の収入が入ってきます。

 

 

仮想通貨トレード目的のために合同会社を設立した場合の落とし穴

 

落とし穴1

取引所の法人口座を開こうとしたが審査が落ちる

 

取引所の法人口座を開設するためには、当然のことながら会社が存在しないといけません。ですから、合同会社を設立後に取引所へ口座開設の申請をするわけですが、あっけなく審査で落とされるケースがあるのです。

国内取引所のビットフライヤー、コインチェック、ザイフでは、法人口座の開設を認めていますが、早かれ遅かれ、審査が厳格になり厳しくなるものと想定されます。

FXの法人口座の場合もそうでしたが、資本金が100万円ないと駄目!設立後半年経過していないと駄目!などの基準がある取引所もありました。

仮想通貨取引所も、「節税目的」のためだけの法人口座開設を一定の基準で審査落ちさせている可能性があります。

取引所の口座が開けないと、意味ないですよね・・

 

落とし穴2

毎年7万円の税金が発生する

 

法人の場合、赤字でも最低7万円の税金が発生します。

1,2年後に仮想通貨の熱が冷めて会社をたたまない限り毎年7万円かかります。

10年間で70万円。

もしも、会社をやめたいと思ったら、やめるときにも7万円がかかります。

合同会社は急激に設立数が増えています、反面、儲けが出なくて会社をたたむ数も増えてきています。

やめるときにもお金がかかることを知らない人もいますので注意しておいたほうが良いでしょう。

 

落とし穴3

繰越損失の恩恵を受けられない可能性がある

 

法人の最大のメリットは、万が一損失を出してしまった年度があっても、翌年以降に出た利益と相殺できるということです。ただ、仮想通貨ブームが去り、今のような誰でも勝てる上昇相場が終わりになると、誰でも簡単に勝てることはできなくなります、するといつまでたっても損失を穴埋めするための利益を得ることができずに、「繰越損失の総額」を使い切らずに終わってしまうことにもなりかねません。

そのくせ、毎年7万円の税金はかかりますから、何のための法人なのか分からないくなります。数値が苦手で決算処理も自分で出来ないようですと、別途税理士さんに30万円ほど支払う必要もあります。利益が出てないのに毎年出費が確定していることは精神的にもつらいことです。

 

落とし穴4

会社のお金は「自分のお金」ではないよ

 

会社にたまった現金を、勝手に引き出してプライベートで使ってしまうと、「給料」扱いになります。

すると、個人に対して所得税がかかってきます。会社にとってみても、「ルールで決められていない給与」を払ってしまったということで経費にはできず、その分法人税が上がります。

自分の会社とはいえ、好き勝手にお金を使えないのが実情なのです。

 

 

結論

 

私は、アフィリエイト、ネット通販、投資などを行う法人を運営しています。仮想通貨取引も事業の一貫として行っていますので万が一仮想通貨で利益を上げることができなくなっても問題はありません。ただ、サラリーマンが仮想通貨の節税目的のためだけに法人設立をすることは、実際のところ税務署がNOという場合もあるかもしれません。

 

NOと判断された場合、過去5年から7年にわたり個人で取引をしたことにされてしまいます。個人での取引だと判断されてしまうと、勝っていた年は高い税金の支払い、負けた年は翌年に繰越損失が出来ないなど、不利になってしまいます。

悔しいですが、これが現実かもしれません。

 

ですから、趣味程度でトレードをするのではなくて、仮想通貨トレードだけで今後も会社運営を維持できるくらい稼ぐことが出来れば法人設立すればいいですし、それが無理ならば、アフィリエイトやネット通販事業など、メイン事業を1つ決めて、ついでに仮想通貨を事業の1つに加えれば良いのかと思います。

しっかりとメインの事業を行っている会社が、片手間に投資をすることなど当たり前だからですね。

 

法人を作って自分で運営することで、お金についての知識が増すと思います。仮想通貨で負けても7万円の税金はかかってしまいますが、大勝ちした場合はやはり法人設立のメリットはありますから、将来的に「大勝ち」することを予想するならば、早めに作っておいたほうが良いでしょう。

 

コメント

  1. あーる より:

    細かく記載頂いてありがたいのですが、結論や総額がどれなのかなと思いました。

    • K.T(ケーティー) より:

      ご指摘ありがとうございます。ちょうど昨日、追記をしているところでした。参考にさせていただきます

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